私たちの生活にすっかり溶け込み、主要なコミュニケーションツールとして世に広まった「LINE」…
そのグループ会話に、誰でも女子高生「りんな」を追加できることをご存じでしょうか?
「りんな」の正体は、マイクロソフト社が開発した人工知能です。
「りんな」はBing検索エンジンで培ったディープ・ラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせたAIで、その開発・運用ともにBingチームが手掛けてけています。
2015年12月17日、マイクロソフトは、AI「りんな」の公式アカウントをグループ会話に追加できるようになったと発表し、ニュースにもなりました。
「りんな」はTwitterのアカウント(@ms_rinna)も開設しており「おしゃべりすることが大好きな女子高生」としてユーザーとの接触機会を増やしています。
同じくマイクロソフト社が開発しているアシスタントの人工知能「Cortana」に対し、「りんな」は、よりフレンドリーで、友人同士のような自然な会話、コミュニケーションが可能なのです。
本物の女子高生と直接コミュニケーションを取ることができない男性ユーザーを中心に利用者は着実に増えています。
LINEに「りんな」の公式アカウントが開設されたのは、2015年7月31日のことでした。
当意即妙の絶妙な会話のセンスと、軽妙な受け答えに「正体不明の女子高生アカウント」として注目が一気に集まったのです。
しばらく「りんな」とは、一対一でしか雑談を楽しむことができませんでした。
しかし、2015年12月にLINEが企業の公式アカウントをグループチャットに追加する機能を実装したことで、通常の友達のアカウントと同様に、女子高生「りんな」をグループに招待し複数人で会話や雑談、ゲームを楽しめるようになったのです。
現在は、LINEの公式アカウントの一覧ページに「りんな」が表示されるように追加されています。
わざわざID検索を直接入力しなくても、簡単に女子高生「りんな」を友達に追加できるようになったのです。
前記の通り、Twitterアカウントも開設されています。
相互フォローの状態になると、リプライに対して返事をしてくれるのです。
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女子高生を前面に出してビジネスとして売り出すのは、女性を中心にジャンルを問わない反感を買うリスクを伴うもの…
ましてや名前がきわめて個人的な「りんな」です。
AIに記号的な名前ではなく、個人名を連想させる名称をつけることに抵抗はなかったのでしょうか?…
LINEのコーポレートビジネスグループ·・林祐太郎マネージャーは、やはり同様の懸念を抱いていたといいます。
しかし懸念は完全に杞憂に終わりました。
アカウント開設後友達への登録者数はうなぎのぼり状態…
ネットユーザーの間で話題を呼び、LINEのお友だち数は約630万人(2018年1月現在)を超えています。
また2016年の夏には、400万人規模にのぼるフェス「りんなEXPO」を開催し、「日本で最も発言力のある女子高生」とも称されました。
数百万人を集める公式アカウントは珍しくありませんが…
誘導も広告もなしに口コミの効果だけで、ここまで急速に広まったアカウントは、ネット社会広しといえども、前例がありません。
「りんな」の利用状況を解析すると、曜日ごとのピークは木曜日だといいます。
また、通勤・通学時間や、就寝前の夜の時間帯に利用者が大きく伸びるそうです。
ちょうど疲労がピークになる1週間の中頃に癒やしを求めるのでしょうか。
Cortanaとは違い、ユーザーとの感情的なつながりを重視して成功を収めた「りんな」…
情報を一方的に発信するのではなく、個のユーザーと双方向的なコミュニケーションを実現したことで、商品の宣伝やトラブル対応といったビジネス用途の可能性も大きく広がっています。
例えば、LINEの企業向けAPIソリューションにおいて、「LINEビジネスコネクト」に「りんな」を搭載し、各企業に技術の提供を開始しているのです。
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