リーダーが部下を指導していく上で欠かせないのが、部下に対する動機づけです。
デキるリーダーと、そうでないリーダーの違いは、部下に対して適切な動機づけを行っているかどうかにあるといっても過言ではありません。
「いったい、お前はやる気があるのか!」などと、笛吹けども踊らずの部下にキレて、彼らの不興を買うリーダーもしばしばいます。
このようなリーダーでは、部下はやる気についてなど、考えてみたこともないでしょう。
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欲求五段階説
アメリカの心理学者A・H・マズローは、人間のやる気の源泉は“欲求”にあると考え、「欲求五段階説」を唱えました。
人間はさまざまな欲求を持ち、それを満たそうと行動するのですが、その欲求は「生理的欲求→安全への欲求→社会的欲求→尊敬への欲求→自己実現の欲求」というように、低次元の欲求から高次元の欲求へと順に進み、低次の欲求が満たされないと高次の欲求が現れることはないとされています。
1:「生理的欲求」
食べる・休む・眠るなどの欲求です。
生命を維持していく上で欠くことのできない最も基本的な欲求にあたります。
経営上の主な施策としては適性水準の労働条件や社宅・厚生施設などが、これにあたります。
2:「安全への欲求」
さまざまな危険や経済的不安から逃れて、自分や家族の安定を維持し、明日も明後日も安心して過ごしたいという欲求です。
依存・保護・秩序への欲求などがあります。
経営上の主な施策としては定年延長や持ち家制度などがこれにあたります。
3:「社会的欲求」
周りの人と親密な関係を築きたい・仲良くしたいという欲求です。
さらに人々から仲間として受け入れたい・除け者にされたくないというように、集団に帰属することを望むようになるのです。
経営上の主な施策としては、クラブ活動の援助などがこれにあたります。
4:「尊敬への欲求」
他人から自分の価値を認められたい・尊敬される存在でありたいという欲求です。
経営上の主な施策としては表彰制度や人事考課の設定などがこれにあたります。
5:「自己実現の欲求」
通常、生理的欲求・安全への欲求・社会的欲求・尊敬への欲求が満足された後に現れるもので、自分自身を存分に活かしたいという…
また、自分の潜在能力を引き出したいという欲求です。人間として自己を充実させたいと望む欲求で、継続的に自己啓発をはかりたいとか、独創的な存在でありたいと願うことから、成長欲求とも言われます。
経営上の主な施策としては目標管理や自己申告制などを設けることです。
心理学者A・H・マズロー自身、「自己実現する人は稀です」と述べています。
まして他人である部下の自己実現に関わるのはもっと難しいものなのです。
しかし例えそうであっても、リーダーとして部下をサポートすることは可能ですし、常に部下が何を望んでいるかを把握しておく必要があるのです。
そのため大きなヒントは、実は自分自身から振り返ってみることです。
つまり自分が部下であったときに、上司に何を望んだかを思い起こしてみるのです。
例えば人間的にも能力的にも優れた上司の下で働きたい、自分の能力を存分に引き出して欲しい、公平に扱って欲しい…
といったような思いがあったはずです。
その気持ちを思い出して、部下に接することです。
また部下が提出した書類などにも、儀礼的にざっと目を通すのではなく、そこに記された彼らの思い、抱負、ビジョンときちんと向き合って、部下のことをできるだけ知ろうと努めるのです。
そうやって彼らの欲求レベルを少しずつ上げるような刺激を与え続けることが、部下の自己実現を促す大きな第一歩となるのです。
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