会社組織における「コミュニケーション」の重要性について

目次

社会生活を営む人たちの間で行われる知覚・感情・思考の伝達のこと…
これを「コミュニケーション」といいます。

この「コミュニケーション」は会社組織においても重要なものなのです。




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会社組織における「コミュニケーション」の重要性


「コミュニケーション」についてのドラッカーの洞察(どうさつ)は独特のものです。
ややわかりにくいところもあるのですが、極めて本質的な分析を行っており、説明は哲学的でありながら実用的な側面もあって、ドラッカーの多くの説の中でもとても魅力のある部分です。

たとえば、禅の公案にある「木が倒れても、それを聞く人がいなければ、音はしていない」という例説をあげて、この音こそがコミュニケーションの本質だと言っています。

まず、聞く人がいないとコミュニケーションは成立しないとして、コミュニケーションの主体は情報の発信者だと思われがちだが、実は逆で、すぐれたコミュニケーションとは情報の受信者が主人公なのだと指摘しています。

また、私たちには聞きたいと期待しているものだけを聞き、見ようとしているものだけを見る傾向があります。
したがって、円滑なコミュニケーションをするには、受け手の関心がどこにあるか、知的水準はどのくらいかといった点を十分に考えなければなりません。
仕事の現場でよく起こるのは、コミュニケーションの主役が発信者であるとの間違った考えによる悲喜劇です。

会社の考え方を伝えるため、現場の理解力を考慮することなく難しい言葉を駆使して配付したビラ、消費者に向かって言いたいことだけを述べている広告、部下の関心に関わりなく上司としての権限を使った説教…
など、いくつも例を挙げることができます。

「伝える」ことに熱心ではあっても、相手に「達する」ことができるかには関心を払わない…
こういうケースは山ほど目にすることができるはずです。
「伝達」という言葉には深い意味が隠されています。




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情報とコミュニケーションの違いは何なのか?


コミュニケーションと情報を峻別(しゅんべつ)している点も、ドラッカー独特の視点です。
ドラッカーは、情報を伝えるには送り手と受け手の間の感情的(人間的)なつながりが必要で、それこそがコミュニケーションの本質だ…
したがって、すくれたコミュニケーションに必要なのは情報の交換ではなく、知覚(感情)の共有だと言っています。

これを読み替えると、情報は車で、感情的なつながり、つまりコミュニケーションが道路に相当するのではないかと思います。
いくら車に荷物をたくさん積んでも、道路が敷かれていなくては、何も運ぶことができないからです。

企業とは、コミュニケーションで成り立っている組織です。
営業は取引先とのコミュニケーションによって、マーケティングや広報は市場や消費者とのコミュニケーションの交流を保つことがその活動の中心になっています。
人事は、人の異動で組織内のコミュニケーションを活性化させることに主たる目的があります。

要するに経営とは、コミュニケーションによって内部資源を活性化させ、商品やサービスをつくり出し、外部とのコミュニケーションを通じてそれを社会に提供し、その結果をコミュニケーション活動によって組織内に取り込み、再び内部のコミュニケーションを活性化させる一連の流れのことなのです。

つまり、情報の伝達だけでなく、情報を介した「有機的な関係性」や「双方向的な人間のつながり」の集積が、企業活動そのものと言えるのです。
これはコーポレート・コミュニケーションともいえるものです。

昨今の企業の不祥事を観察すると、形式的にはコミュニケーション回路ができているのですが、その回路の中を情報がスムーズに流れていないことが致命傷になったことがわかります。

「企業の本質はコミュニケーションである」ということを、もっと意識すべき時代になってきたということです。
広報、IR、営業、宣伝、人事、労務、開発など、あらゆる部署がそれぞれ企業コミュニケーションの活性化を担当していると考えるべきなのです。

この経営の死命を制するコミュニケーションの活性化について、全体的な視点から戦略的に取り組む企業が生き残っていけるのです。
あらゆる組織で、理念·方針、商品·企画·各種プロジェクトなどの情報をわかりやすいかたちで組織の内外に提供できるコミュニケーション能力、そして外部顧客や関係者のニーズを的確に把握できるコミュニケーション能力が求められる時代になってきました。

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