ジョン・ウィリアム・ガードナーが5年間にわたって調査研究を行い、現代に対応できるリーダー論としてまとめたのが「リーダーシップの本質-ガードナーのリーダーの条件」(1993年)です。
ここでガードナーは、「リーダーの属性を数字だけで機械的にとらえることがないように、調査は繰り返し行った」と述べ、現代の複雑化した大規模組織におけるリーダーの機能と役割を探っています。
そこから抽出されたリーダーの属性は下記のようになっています。
◆ガードナーによる「リーダーの属性」
優れた直感力をもち
エネルギッシュである
人々を行動に導く説得力がある
管理能力、決断力、優先順位決定能力がある
自分から進んで責任を引き受ける
物事への取組みに適応性と柔軟性がある
自信がある
情報整理能力に優れている
粘り強さがある
言いたいことをはっきり主張する
達成欲求がある
部下の気持ちを理解できる
信頼を勝ち取り、持続させる能力がある
部下や自分の支持者を理解し、彼らのニーズを理解している
ここには、様々な側面からとらえられたリーダーの属性(条件)が列挙されていますが、そのベースにあるのは、「リーダーシップというのは、個人あるいはリーダー・チームが、リーダーやリーダーと部下が共有している目的を追求すべく、集団を誘導していくプロセスである」という考え方です。
さらに、リーダーシップにおいてとりわけ重要な任務として「目標設定」と「モチベーティング」を挙げています。
つまり、メンバーが共有する信条や価値の再生を手助けするのが優れたリーダーだということなのです
しかしながら、ここで挙げた属性がすべてリーダーに必要とされるわけでもありません…
「リーダーに必要な属性は、実際に発揮されるリーダーシップの種類、置かれた状況、部下の質といった条件によって異なる」と、ガードナーが言うように、リーダーシップは固定的なものでなく、様々なスタイルをとるものだからです。
ガードナーはスタンフォード大学ビジネススクール記念教授を務めるほか、かつてはケネデイ政権で教育対策委員会のメンバー、ジョンソン政権で保健教育福祉省長官、カーター政権で「1980年代へのアジェンダ委員会」メンバー、レーガン大統領の民間部門イニシアチブ委員会のメンバーなどを歴任してきました。
このような政治の現場にいたこともあって、ガードナーのリーダーの条件には、政治家の事例が数多くとり上げられているのです。
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