グーグルやアップルをはじめとする欧米の巨大企業が躍起になって研究開発に勤(いそ)しんでいる人工知能…
人工知能が、ビジネスにおいて最も注目される分野であり、将来的に企業の利益、ひいては経済そのものを大きく左右する分野であることは間違いないでしょう。
人工知能は、情報通信技術の領域に留まらず、医療や流通をはじめあらゆる領域における圧倒的な「技術革新」に関わっていくことになり、より高度な人工知能をより早く開発した企業は、競合他社を圧倒する新製品や新サービスを生み出し、途方もない利益を独占することができるかもしれないのです。
そして、彼らが開発した人工知能が指数関数的に進化しつづけていけば、そうした利益の独占はさらに盤石なものとなっていくことが予想されます。
したがって、この人工知能開発の波に乗り遅れた企業はある意味で悲惨…
人工知能によって文字通り他を圧倒するような目覚ましい技術革新が次々に生まれていくかもしれない未来において、人工知能の開発に遅れを取った企業はいったいどうなるのでしょうか?
さて肝心の我が国の企業は、人工知能開発の波に完全に乗り遅れてしまっているの傾向にあります…
欧米の企業群が人工知能の開発に躍起になっている今、日本の企業はいったい何に焦点を合わせているのでしょうか?
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よく知られていることですが、日本は長年「ロボット大国」として知られてきました。
産業用ロボットを開発・輸出することで、日本は1990年には88%ものシェアを独占…
今も50%近いシェアを確保することができています。
また、日本製のロボットといえば、本田技研工業が1996年に発表したヒューマノイド型ロボット「ASIMO」が有名です。
ASIMOは発表当時、世界をあっと言わせたものでしたが、昨今話題になっているかといえば、すでにソフトバンクが発表したPepperに注目が移ってしまっている感が否めません。
他の企業も産業用ロボットの開発、そしてそれに搭載する人工知能の開発には余念がないものの、それらはビッグデータやI0Tという時代の潮流を見据えた開発とは言いがたいものがあります。
日本の企業が照準を合わせているのは、あくまでも工場で稼働するロボットがメインであり、しかも、多くの場合はそれを新興国市場に売ることをターゲットにしています。
ところが、グーグルをはじめとする日本以外の先進国の企業は、かなり以前からロボットの「新しい用途」に着目、日本が産業用ロボットにかまけている間に、どんどん開発を進めているのです。
例えば、アメリカのiRobot社が発売して全世界的な大ヒット商品となった、お掃除ロボット「Roomba」…
この部屋の中を掃除するロボットというアイデアにおいても日本は完全に乗り遅れてしまいました。
もちろん、身体機能が衰えた人の動作を補助するロボット・スーツ「HAL」を開発したサイバーダイン社や、新型車椅子の開発を行っているWHILLのように、産業用ロボット以外の介護・医療系ロボットに着目して成功している企業も出てきてはいます。
ところが、日本のロボット開発意識には、アメリカのそれにあるものが決定的に欠落している感があるのです。
それが、ご存知「人工知能」です。
人工知能が人類史上最大の技術革新になるなら日本企業の敗北は決定的なものになるでしょう…
日本のロボットは、産業用ロボットであれ、災害対策用ロボットであれ、「一つの機能しか持っていない」ものが多いのです。
これらは電源ケーブルなどと接続され、人間がコントローラを用いて操作する仕組みになっています。
ところが、アメリカの企業が目指しているのは、高度な人工知能を備えた自律型(人間の指示や操作なしに、自発的に考えて行動できるタイ
プ)のロボットであり、同時にビッグデータやIOTといった時代の流れも見据えたロボットなのです。
当然ながら、そうした自律型ロボットを実現するためには、人工知能の開発が喫緊の課題となります。
ところが、日本の多くの企業は自律型ロボットを作るというビジョンを持っていないため、人工知能開発に致命的な遅れが生じてしまっているのです。
この数十年の間に、日本のエレクトロニクス企業は、欧米の企業に大差で水をあけられてしまっています。
マイクロソフトが実現した世界標準のOS、アップルが世に送り出した携帯音楽プレイヤー、そしてスマートフォンなどのモバイル技術…
いずれも画期的な技術革新でしたが、日本のメーカーは遅れを取り、「後追い」をするしかありませんでした。
そして、今、人工知能の分野においても、日本の企業は時々刻々と取り返しのつかない差をつけられようとしているのです。
もし、人工知能が人類史上最大の技術革新となるなら、日本企業の敗北は決定的なものになってしまうのではないでしょうか?…
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